お客さんを笑顔にする和菓子を届け続けたい ー会津長門屋 若女将のものがたり

人と思いをつなぐ和菓子

優しい光が入る店内には、伝統的な和菓子と可愛らしいお菓子、奥には懐かしい駄菓子が並ぶ。女将さん母娘とお客さんの笑い声が聞こえる。その居心地のよさに話も弾み、お客さんは笑顔でお菓子を抱えていく。 ここは会津若松市にある和菓子屋「長門屋」本店。170年近い伝統を持つ老舗を切り盛りするのは、若女将の鈴木静さんと母・素子さん。静さんのご主人・哲也さんが昨年6代目を継ぎ、静さんは新しい製品の開発に携わる。

 

若女将 鈴木静さん(右)

先代が考案した「香木実(かぐのきのみ)」は、地元会津特産の鬼ぐるみを餡で包み黒糖をまぶした和菓子。口にすると鬼ぐるみの滋味深い香りが広がり、しっかりした食感を味わえる。素朴なのに忘れがたく、この土地の情景が広がるような余韻が残る。「お客さんに『あなたのところのお菓子は、ふるさとを思い出す』と言われて、和菓子は『お客さんの生活の歴史』に関わるものなんだと改めて実感したんです」(静さん)。 和菓子のよさを伝えたい、お客さんに笑顔になってもらいたい――。

 

女将になってから、その思いを新たにした静さん。しかし、現代のライフスタイルの中で、和菓子を食べる機会は減ってしまった。よさを伝えるためには、商品を手に取り続けてもらうことが大切。「今」の生活に合う和菓子を目指し、試行錯誤の日々が始まった。 そんな静さんが最初に見せてくれたのは、「和三盆糖シュガーマドラー」。干菓子をマドラーに通しているため、そのままコーヒーに溶かして和三盆を楽しめるもの。伝統的な文様をそのまま使っているため、たとえばオシドリならば結婚に、かち栗ならば受験にと、いろいろなシーンで使うことができる。新しいのに懐かしい。「和菓子を通して、生活を楽しんだり、コミュニケーションが増えれば」。

7月29日―8月2日 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし) に続く。

 

 

本家長門屋

〒965-0865  福島県会津若松市川原町2-10
TEL 0242-27-1358

OCHIKOCHI が 『日本の過去と未来を紡ぐ女性』として長門屋さんを取材。3回に渡る連載にて続きをご紹介致します。第2回は 7月29日―8月2日 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)、 第3回は9月2日―9月7日禾乃登(こくものすなわちみのる) 

コラム 桂浜名月