涼風至 すずかぜいたる

涼しい風が吹き始める頃。暦ではすでに秋に入る時期ですが、現代の私たちにとっては、いよいよ暑さが厳しく感じるころでしょうか。
そんな寝苦しい夏の夜に、聞きたくなるのはやはり怪談などの怖い話。背筋に冷たい風が吹き抜け、冷や汗タラリ…。 私の定番と言えば、江戸後期な上田秋成により書かれた雨月物語。当時の和文と漢語を交ぜたという独特の文体に導かれ、読み進む度に不思議な世界から出られなくなるのです。 浅茅が宿(あさぢがやど)…戦乱の世、一旗挙げるために妻と別れて故郷を立ち京に行った男が、7年後に幽霊になった妻と再会する話。気がつくと、先ほどまでの家はあばら家、愛しい妻は消え、残されたのは妻が詠んだ歌だけだった。 仏法僧(ぶつぽふそう)…旅の親子が高野山で、怨霊となった豊臣秀次の一行の宴に遭遇する。真っ暗な山道に、獣や人や目に見えぬものの迫る恐ろしさ、人間の執念の凄まじさ…。暗闇に存在するものを感じてしまいそうな読後感です。 この他にも、色好みの夫を恨みこの世を立った妻が追い詰めて祟り殺す「吉備津の釜」、義兄弟との再会の約束を守るため、約束の日の夜、自刃した男が幽霊となって現れる「菊花の約(きつかのちぎり)」など。 真夏の夜に、上田秋成の罠に…はまってみませんか。

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コラム 桂浜名月