第1回:ティーアドバイザー指田千歳さんインタビュー

人と人をつなぐお茶の魅力 CHA-EN Tea times make a strong bond

 

湯を注いだ急須を開けると、はっとするような香気が立つ。「あ、これは○の香り」と思わず、誰かに話したくなる至福の瞬間。私たち日本人が毎日のように口にするお茶は、そんなひと時と安らぎを与えてくれます。

「お茶をいただく時に感じる風味や香りは、その人の経験によるもの。花の香りだったり、思い出の土地の香りだったり、ふとした生活の瞬間だったり…。誰かと一緒にお茶を囲むとき、自分の経験を共有しているんですね。そこからまた会話が生まれ…。そんな“人と人を近づける”のがお茶の魅力です」

そう話す指田千歳さんは、ティーインストラクターという資格をもつお茶のスペシャリト。現在は、ロチャンティー・ジャパンの代表を務め、紅茶を中心に幅広く紹介しています。お茶との出会いは、広告代理店に勤務していたころ。某飲料メーカーのお茶ブランドを担当し、新茶の時期には有数の茶どころである静岡に足を運び、特徴や加工についても学ぶように。深く知れば知るほど、その魅力にひかれていったと言います。「お茶を通して知り合う人や良縁のことを“茶縁”といいます。私にとって、お茶との出会いこそが“茶縁”です」。

茶葉と真摯に対話しつづける

1244年、聖一国師が宋よりお茶の種子を日本に持ち帰ったのが始まりという言い伝えがあるお茶。その後、武士や上流層に広がり、千利休が茶の湯を完成したことを経て、江戸時代には庶民にも浸透していきました。現在は、日本各地でお茶が生産されています。静岡の掛川茶や京都の宇治茶、九州の知覧茶などは、商店でも見かけます。

指田さんは、お茶を飲むことは、「その土地の空気や風土をいただくようなもの」だと話します。各地の生産者は、その風土に合った、土地のもつポテンシャルを引き出すようなお茶づくりをしていると。

 

指田さんが仕事でよく訪れるのは、日本一の茶所である静岡。現在は、紅茶を中心に販売もされていますが、中国茶も含めたお茶の情報は、静岡に多く集まるとのこと。その中でも特に思い入れのあるのは、静岡県葵区本山(ほんやま)地域のお茶だそうです。山間部に位置し、安部川から立ち込める深い霧が茶畑を覆うため、旨み成分を含む茶葉を生む土地。徳川家康の命を受けたのが始まりとされ、今でも生産者は「本当のお茶を作る山という誇りをもって、最高品位のお茶づくりに取り組まれています」。

指田さんは、この土地で出会ったある生産者の姿勢についてこう話します。

「作り手の方は、いつも最高のお茶づくりを追求していますが、天候に左右されることもあります。常に茶葉を最高の状態に作り上げることは、茶師の職人技と言えます。茶畑から摘まれたお茶は、工場に運ばれて、蒸され、何度かの揉まれた後、乾燥などの工程などを経ますが、そこで使う機械のメンテナンスにも並々ならぬ熱意がうかがえるんです。『どうしたらその茶葉のよさを最大限に引き出せるのか』を考え、茶葉と真摯に対話されているんですね」

 

 

第2回(続き):ティーアドバイザー指田千歳さんインタビュー 人と人をつなぐお茶の魅力