雉始雊 きじはじめてなく

初釜

『初釜』という言葉をご存知でしょうか。茶道を嗜んでいる方以外にはあまりなじみのない言葉かもしれません。

新しい年に初めて行う稽古のことを言います。『天王寺屋会記』(1565年)には、津田宗達の催した茶会が「初風呂敷」と見られます。江戸時代には「茶湯始(ちゃのゆはじめ)」などと見られ、明治30年代ころより今の呼び方になったようです。

 

初釜を行うために、主人は元旦の朝に汲む若水で釜を開き新年の挨拶が終わる10日頃、客人を招いてお茶を振る舞います。

床の間の掛け軸に、初春にふさわしい語句や和歌などの典雅なものを選んで掲げたり、結び柳や椿を飾ります。柳を結んだ大きな輪は、「一陽来復」を表していると言われ、「物事が好転する」という縁起のよいもの。初釜で出す菓子も、新春の艶やかな色合いと正月の華やかなものを選びます。元々宮中の正月行事に出されていた「花びら餠」は有名ですね。丸く平らにした白餅に、赤い小豆汁で染めた菱形の餅を薄く作って上に重ね ふくさゴボウを二本置いたものです。裏千家で出されますが、うっすらと紅色が透けて見える姿は雅やか。

茶席をともにする方々とのご縁を大切にしながら、新しい年を晴れやかにお祝いしましょう。

 

茶道指導 表千家教授 加藤宗静 Master of Tea ceremony( OMOTESENKE) SOSEI KATO

 

コラム 桂浜名月 Column KATSURAHAMA MEGETSU