鴻雁来 こうがんきたる

お手玉

雁たちが集い始めた池の周りには、子どもたちの走り回る姿。 次第に夕暮れのカーテンが下りたかと思うと あっという間に街は夜のマントに包まれて。 ぶるっと身震いした子どもたちは、温かい家へと帰っていきます。

昔の電灯もない晩秋の暮れ、子どもたちは家での遊びを楽しんだでしょうか。

しゃん、しゃん、しゃん。 家の中からは 小刻みに微かな音が聞こえてきます。おばあちゃんと女の子が、手の中で転がしているのは お手玉。 食事前に、おばあちゃんが作ってくれたものです。余り布に小豆を入れて手際よく縫ってくれました。女の子は最初 手から放しては落としてしまい うまくできません。それをおばあちゃんは微笑みながら拾うと、聞いたこともないような唄を歌いながら 5つでも転がし続けるのでした。

色鮮やかに まるで生きているかのように 宙を舞い続けるお手玉。女の子の夢心地の時間は、いつまでも心の中に続きます。

 

●お手玉は小豆や米などを小さな布袋に入れて縫い合わせた伝統玩具。子供たちが幾つかのお手玉を手に取り、「宙に投げ 受け止める」を繰り返すありふれた遊び。昔は 母から娘、孫へと、作り方や遊び方が伝承されたものです●

 

お手玉: 杉浦由紀子 Yukiko Sugiura , Angel Mistakes

448-0813 愛知県刈谷市小垣江町下半の木30-1 (0566)21-1343

 

コラム 桂浜名月