鼃始鳴 かわずはじめてなく

かえるが初めて鳴くころ。 雄が雌に鳴く恋の季節。

日本の俳句では、蛙も多く詠まれています。

みどり児と蛙鳴く田を夕眺め (中村汀女)

 

小さな子どもを抱きかかえ、夕焼けの田でも見ていたのでしょうか。

鳴き声に興味津々な幼子と、その姿を微笑ましく見つめる母のまなざしが浮かびます。

 

中村汀女は、熊本県出身の昭和を代表する歌人の一人。

生活に密着した優しく素直な作品を多くあります。すぐ近くにある 日々の生活の中に

歓びや華、ちょっとした幸せを詠んでおり ほっと落ち着くことができます。

そんな汀女も、その作風から「台所俳句 」と揶揄されたこともあるのだとか。

その際の切り返しが面白い。「私たち普通の女性の職場ともいえるのは家庭であるし

仕事の中心は台所である。そこからの取材がなぜいけないのか」(『汀女自画像』)と語り、。、女性の生活を肯定しています。

 

「こうでなくてはいけない」、「こうあらねばならない」という世間の常識に、

女性は案外 柔軟に生活に合った道を切り拓くことができる――。

そんな知性を汀女に感じました。

 

柏餅:T.T 人形:O-Pi-To-Pa[オーピートーパ]

コラム 桂浜名月